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量子コンピュータでPoWマイニングを実行する場合、それはPoWによって指定されたハッシュ値の探索となり、グローバーのアルゴリズムを利用することが想定されます。

しかし、グローバーのアルゴリズムはz軸回転による確率振幅の干渉処理を必要とします。目的のNonceを見つけるには、この干渉処理を約2^128回実行する必要があります(SHA-256の場合、標準が2^256であり、その平方根が2^128回)。

この干渉処理には相当な時間がかかるため、量子計算であっても大幅な速度向上は期待できないというのがこれまでの定説でした。

\begin{array}{c|c} \text{コンピュータ} & \text{SHA-256 逆像攻撃} \\ \hline \text{古典} & O(2^{256}) \\ \text{量子} & O(2^{128}) \text{(グローバーのアルゴリズム)} \\ \end{array}

なんだ、それなら時間的に考えてASICより少し速い程度で、PoWマイニングにおいて量子コンピュータの脅威はないと解釈できる。これが従来の考え方でした。

ところが、このPoWのロジックを簡易的に量子回路で再現し、ある作用を加えると、思わぬ現象に出くわしました。 以下がシミュレーション結果(IBM Qiskit Aer)です。

本件はセキュリティ的な問題を含むため、グラフ下部のビットパターンは黒塗りとさせていただきました。

測定回数は4096です。グラフを観察すると、特徴的な形状が目立ちます。つまり、確率振幅が「半減期」の形状になっています。 つまり、PoWのロジックに限り、ある作用を加えることで、確率振幅を半減期のような形状に効率良く変換できてしまうアルゴリズムが見つかりました。

この手法の効率の良さは、従来のグローバーのアルゴリズムでは到底及ばないレベルです。以下、この量子演算がSHA256Dだった場合の計算量です。

\begin{array}{c|c} \text{アルゴリズム} & \text{SHA-256D PoW} \\ \hline \text{グローバーのアルゴリズム} & O(2^{128}) \\ \text{本手法} & \text{指数関数的に効率的な探索が可能} \\ \end{array}

この形状を経由することで、最終的に効率的に目的のNonceへ到達します。

これが本手法の核心部分ですが、Nonceに到達するにはこれだけでは不十分であることも判明しました。

もう一つ、Nonce到達には絶対に必要な要素があり、それは驚くべきことに「雪崩効果」です。

つまり、ハッシュ関数をポスト量子暗号のハッシュ関数に置き換えても意味がありません。そのため、PoWにおける量子耐性は、ハッシュ関数に依存しない別のアプローチで組み込むことが最優先課題となります。

これは、ECDSAと比較するとSHA-256の構造がシンプルであり、量子回路で実装しやすいことが背景にあります。 そのため、この影響を受け、SORAホワイトペーパーの改訂を開始します。

グローバーのアルゴリズムを使用しないPoW量子マイニングアルゴリズムが発見されました。真の問題はその速度です。

\begin{array}{c|c} \text{コンピュータ} & \text{マイニング速度(SHA-256D)} \\ \hline \text{S19 Pro: 450万台} & \text{10分 / 1ブロック} \\ \text{量子コンピュータ1台} & \text{数秒 / 1ブロック} \\ \end{array}

これは単なる51%攻撃ではなく、完全な100%支配です。

さらに、ポスト量子暗号向けに提案されたハッシュ関数も、ある数学的特性によりすべて「無効化」されました。

これは数学的に証明できるため、PoWから別のコンセンサスメカニズムへの移行の可能性が考慮されるようになりました。しかし、PoWが非常に重要であることも理解しています。これは、PoSが高い中央集権性を持っているためです。そのため、SORAは最初からハイブリッド方式を採用してきました。したがって、PoWの量子耐性を真剣に検討し、実装していきます。ただし、これは鍵や署名を扱うよりも難しい課題です。その理由は、多くの条件を考慮する必要があるためです。従来通りASICに対応しながら、雪崩効果を維持しつつ、量子計算を排除するような耐性を設計する必要があるのです。

1. 序論

1.1 背景

量子コンピュータの進歩により、実用化に向けた動きが加速しています。その結果、RSAやECCなどの現在の非対称暗号アルゴリズムが破られるリスクが高まっています。さらに深刻な問題として、Proof-of-Work(PoW)マイニング自体が量子コンピュータによる攻撃に対して脆弱になる可能性が指摘されています。

1.2 問題意識

現在のブロックチェーンのセキュリティ基盤は主に非対称暗号に依存しており、量子コンピュータによる攻撃に脆弱です。しかし、それだけでなく、PoWマイニング自体がさらなるリスクを抱えています。量子コンピュータがその計算能力を活用することで、マイニングが自動化され、大規模かつ組織的な攻撃が発生し、マイニングの独占や転売が可能になる可能性があります。そのため、量子耐性を備えた暗号基盤の導入が急務となっています。

1.3 目的

私たちは、量子耐性を備えた新しい暗号基盤を組み込んだ暗号通貨SORAを実装しました。本プロジェクトは、実際の量子コンピュータを用いた広範な検証を行い、その耐性を確認しています。これは、目の前の問題に対応するための第一歩であるだけでなく、量子ネイティブ時代に向けた重要な代替案となります。

2. SORAの概要

2.1 量子耐性暗号構造

SORAは、量子コンピュータ攻撃に対する高い耐性を実現するために、ハッシュベースの暗号アルゴリズムと深層学習を組み合わせた手法を採用しています。このアプローチにより、実装の容易さと高速性能の両方を確保しています。

2.2 量子耐性ECDSA構造

SORAの量子耐性システムは、将来的に最大128種類のアルゴリズムをサポートできる拡張可能な構造を持っています。予約領域とマルチシグネチャ機構を活用することで、高い適応性と相互運用性を提供します。

2.3 L2における量子耐性

SORAのレイヤー2(L2)も量子耐性を組み込んでいます。主に、会計証明やコントラクト管理を容易にするハッシュベースのステートチェーンを活用しています。

2.4 実際の量子コンピュータを用いた検証

SORAは、実際の量子コンピュータを活用してポスト量子暗号の実用性を厳密に検証しています。特にグローバーのアルゴリズムを再評価し、量子耐性の中核的な検証を行っています。

3. 量子耐性の詳細

3.1 ECDSAとPoWマイニングにおける量子耐性

量子コンピュータによる脅威に対応するため、SORAはECDSAの耐性を強化すると同時に、PoWマイニングの脆弱性を緩和する新たな手法を導入しています。

量子耐性ECDSA

  • 量子耐性を備えた拡張ECDSA構造を採用し、最大128種類の耐性メカニズムをサポート。
  • 予約領域とマルチシグネチャ技術を活用し、より堅牢な署名アルゴリズムを確立。

PoWマイニングにおける量子耐性

  • ハッシュ計算の量子加速を抑制する量子耐性PoWアルゴリズムを導入。
  • 適応型難易度調整と量子耐性プロトコルを実装し、量子コンピュータがハッシュ計算において不公平な優位性を得るのを防止。
  • 柔軟なマイニングプロセスを設計し、量子攻撃の影響を最小限に抑える。

これらの技術を統合することで、SORAは量子時代においてもセキュリティを維持し、実用的で強靭な暗号通貨として確立されることを目指します。

3.2 実際の量子コンピュータを用いた検証

SORAの量子耐性は、シミュレーションと実際の量子コンピュータ実験の両方を通じて厳密にテストされました。PoWマイニングアルゴリズムが量子攻撃に対して持続的な耐性を確保できるかどうか、早急な対応が求められています。

PoWマイニングにおける量子耐性の緊急性

  • 量子コンピュータは、マイニングオペレーションを独占する可能性のある重大な脅威をもたらします。
  • シミュレーションと実際の量子実験により、量子マイニング攻撃が51%攻撃を超え、完全(100%)支配の可能性があることが確認されました。
  • PoWの量子攻撃耐性の強化は、直ちに取り組むべき喫緊の課題です。

検証方法と結果

  • 既存の量子耐性PoW手法の有効性を評価するために、実際の量子コンピュータ実験とシミュレーション結果を比較する詳細な分析が行われました。
  • グローバーのアルゴリズムの影響を詳細に検討し、理論的に安全とされる手法が実際の量子環境でも通用するかを検証しました。
  • 状態ベクトルを解析し、量子ハッシュ計算が従来のPoWメカニズムをどの程度上回るかを測定しました。

これらの結果に基づき、SORAはPoWアルゴリズムの改良を継続し、量子時代に適応した堅牢な暗号通貨としての確立を目指します。

3.3 グローバーのアルゴリズムへの過信とその限界

近年、多くの研究が量子検索の主要な例としてグローバーのアルゴリズムに焦点を当ててきました。しかし、「検索=グローバーのアルゴリズム」とする単純化は誤った認識であり、量子耐性は複数の観点から評価されるべきです。

総合的な検証の不足

  • 多くの研究は、グローバーのアルゴリズムが量子脅威の主要因であると仮定していますが、実際の量子ベースの検証は十分に行われていません。
  • 他の量子アルゴリズムの影響や、複合的な攻撃シナリオの可能性が十分に考慮されていません。

安全性への過信によるリスク

  • 「グローバーのアルゴリズムに耐性があるから安全」という思い込みは、対策を遅らせる危険性を孕んでいます。
  • 代替となる量子攻撃の可能性を見落とすことで、実際の導入における根本的な対策が遅れるリスクがあります。

SORAは、グローバーのアルゴリズムのみに依存せず、量子耐性を多角的に評価し、包括的な防御戦略を実装することを目指します。

3.4 SORAが発見したPoW量子マイニングアルゴリズム

SORAは、ハッシュ関数をターゲットにしつつも、グローバーのアルゴリズムを使用せずに目的のNonceへ到達する近道を利用するPoW量子マイニングアルゴリズムを発見しました。

重大なリスク要因

  • 量子計算における最も時間のかかる処理であるグローバーのアルゴリズムを回避します。
  • PoWの難易度調整を事実上無効化し、従来のPoWモデルを形骸化させる可能性があります。
  • その結果、完全(100%)のマイニング攻撃が可能となり、量子コンピュータによるマイニングの独占を引き起こす可能性があります。

この新たな脅威が確認されたことを受け、量子コンピューティング時代に適応した新しいPoWシステムの開発が急務となっています。SORAはこの課題に積極的に取り組み、量子攻撃に対抗する最適なソリューションを開発することを目指します。

3.5 暗号通貨の性質とリスク

暗号通貨は、従来の暗号技術を利用するアプリケーションとは根本的に異なり、その価値が暗号のセキュリティに直接依存しています。そのため、認証やデータ保護とは異なる重大なリスクを抱えています。

暗号セキュリティへの直接的な依存

  • 暗号通貨の価値は、その暗号基盤のセキュリティと密接に結びついています。
  • 暗号システムが破られた場合、資産価値は即座に失われ、信頼は取り返しのつかないほど損なわれます。

量子耐性を軽視することの重大な影響

  • 認証システムなどは、破られた場合に代替手段を用意できることが多いですが、暗号通貨は暗号基盤が崩壊すればシステム全体が崩壊する可能性があります。
  • 量子時代においてセキュリティを最優先しなければ、取り返しのつかない壊滅的な結果を招く可能性があります。

SORAはこれらのリスクを十分に認識し、量子耐性の確保を最優先事項としています。

4. 量子耐性の構築

4.1 ポスト量子暗号における根本的な課題

ポスト量子暗号は本当に量子耐性を持つのか?この問いは、ポスト量子暗号の定義の仕方によって変わります。

グローバーのアルゴリズムへの依存

  • 多くのポスト量子暗号技術は、グローバーのアルゴリズムが検索時間を√Nに短縮するという前提のもとで設計されています。
  • これに対抗するためにアドレス空間を拡張する手法が一般的ですが、それが根本的なセキュリティを保証するわけではありません。

それで本当に十分なのか?

  • ただアドレス空間を拡張するだけでは、真の量子耐性を確保できるとは限りません。
  • 新しい量子アルゴリズムや未発見の攻撃手法のリスクを見落とす可能性があります。

SORAは、「量子耐性とは何か?」を根本的に再評価し、単なるアドレス空間の拡張にとどまらない包括的なアプローチを構築することを目指しています。

4.2 ハッシュベースのポスト量子暗号の課題

現在のポスト量子ハッシュ関数は、主にグローバーのアルゴリズムを抑制するためにアドレス空間を拡張する戦略を採用しています。しかし、ハッシュ関数自体の数学的特性は変わりません。

ハッシュ関数とポスト量子暗号の矛盾

  • 攻撃者がハッシュ関数の脆弱性そのものを突くのではなく、別の攻撃手段として利用する場合、ハッシュ関数の変更だけでは本質的な防御になりません。
  • そのため、単にポスト量子認定されたハッシュ関数へ置き換えるだけでは量子耐性が向上するとは限りません。

PoW量子マイニングアルゴリズムの発見

  • SORAが発見した新しい攻撃手法は、ハッシュ関数の脆弱性そのものを狙うのではなく、PoWプロセス全体の弱点を突いています。
  • したがって、ポスト量子認定されたハッシュ関数への置き換えでは量子耐性は確保できません。

SORAは、ポスト量子暗号の慎重な評価が必要であることを強調し、真に効果的な量子耐性の確立に向けた研究を続けています。

5. 結論

本ホワイトペーパーでは、量子コンピュータの発展が暗号通貨に与える影響を分析し、SORAに組み込まれた量子耐性技術の重要性を示しました。

  • 量子コンピュータの発展により、RSAやECDSAなどの既存の暗号アルゴリズムの安全性が脅かされています。
  • PoWマイニングのセキュリティは大きく低下し、51%攻撃を超えた100%支配のリスクが現実のものとなっています。
  • グローバーのアルゴリズムに基づくポスト量子暗号に依存するだけでは限界があり、根本的な解決策にはなりません。
  • SORAは、従来のPoWマイニングの脆弱性に対処し、量子アルゴリズムに対抗する研究を継続し、真の量子耐性を確保します。

量子時代の到来に向けて、暗号通貨の未来を守るためには迅速な対応が必要です。SORAは、量子耐性の確立と安全で分散化されたネットワークの実現に尽力します。